::松本道弘 巻頭言
::例会報告
::松本道弘プロフィール
::紘道館とは?
::英語道とは?
::館長ブログ
::松本道弘 日記
::斬れる英語コーナー
::書き下ろしエッセイ
::松本道弘著作集
::講義用テキスト(PDF)
::松本道弘対談集(動画)
::ナニワ英語道ブログ
::日新報道
::TIME asia
::ICEEコミュニケーション
  検定試験
::ワールドフォーラム
::フィール・ザ・ワールド
 
お問い合わせ先

オバマ好みの英語Tough. つらい(やり甲斐のある)

ちょっと「英語の音霊」から離れて、「オバマの本棚」に載せなかったか所をこのブログで披露してみたい。
オバマ好みの口語英語にtoughがある。
インターネット・ニュースでオバマの発言があると、じっと耳を傾ける。彼の深層心理を表すキーワードを探しているのだ。
It’s a tough job to organize in our journey to change America.
メモからキーワードをたどっていくと、オバマという人間が水のような気質であることが手に取るようにわかってくる。toughは「固い」だけではない。「つらい」なのだ。彼はhardをめったに使わない。
toughは、叩けばゴツンという音がする。外が固いのだ。しかし、hardは外はさほど固くなくても、うちまで固いのだ。hard feelingsは、非情な心だ。中まで固いゆで卵は、head-boiled eggだ。しかし、toughは外だけで、内は意外にsoftである場合が多い。
tough outside, soft inside(外剛内柔)とは、オバマのことだろう。彼は同じように、toughは、かたくても努力すれば壊せるものだと考えているようだ。AIGを叩くときも、It was a tough choice.とか、I made tough choices.というtoughを乱発していた。ルビコン川を渡るときも心境をtoughで表現している。
努力しているんだ、察してくれよ。という悲痛感が伝わってくる。
清水の舞台から飛び降りるような心境も、オバマなら、a very tough choiceとさりげなく表現するだろう。
コーヒー・ブレイク
今日一日、ビリー・ホリディ―のブルースをCDで聞きながら浅草を散歩する。いつも横にオバマがいる。I’m in heaven. この企画は、天から降ってきたマナ(新約聖書)だ。Manna from heaven. だから思考が翔ぶ。
私の好きな男の中の男「吉良仁吉」を大衆演劇で見る。私がオバマの耳元で同時通訳をすると、オバマは泣いていた。
清水次郎長に惚れ込んだ、吉良の仁吉。カラオケで演歌『人生劇場』を歌う時は必ず酔う。吉良の仁吉は男じゃないか〜。オレも生きたや、仁吉のように〜、義理と人情のこの世界〜。こぶしが効いている。オバマの英語にも鼓舞し(ヴィヴラート)がある。
その仁吉が仇打ちに出掛ける。妊娠3か月の子供を抱えた恋女房が泣きすがる。この子のために「カタギになってちょうだい。」しかし、人情と義理とをはかりにかければ、義理のほうが重いのがヤクザ稼業。仁吉は次の言葉を残し、死を賭して、「お菊、お前は死ぬな。オレについてくるな。子供がいる。おれは最後のヤクザでいい。」と言って死地に発つ。かっこいい。
このあたりの同時通訳を耳にしたオバマは、「カサブランカ」や「誰がために鐘は鳴る」で散見される無条件の愛を思い浮かべて泣いているに違いない。いや、ケニアのgrandfatherの男気をだぶらせていたのかも・・・。その日の夜の絵日記は、オバマとワイン・トークしている情景を英語で描写し、英文日記に書き留めておいた。

 
2009年11月1日
紘道館館長 松本道弘