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オバマに迫る 〜 その2 〜

私の好きな王陽明はいった。
林中の敵を破るのは易し
心中の敵を破るのは難し

武士の敵は、心中にある。これがsilver pride。読書家の宮本武蔵は、自身の二刀だけが武器ではないと、敵の武器にも精通していた。敵を知っているのだ。そして、いつでもその敵になることができる。

「敵になる」は私の擬態戦略である。カマキリも、カムフラージュの天才だ。今度もジャーナリストになるか。

ホテルのカンズメが始まった。ヒストリー・チャンネルの企画が始まったときから、1ヶ月はSAMURAI MONTHとして、その間、徹底的に英語で武士道を初め日本文化の研究を始めた。

自らが新渡戸稲造に、いや変化球に強い英語武蔵になり切るのだ、と言い聞かせる。その感覚が甦った。オバマの胎内巡りをするのだ。まず彼が好んだ『白鯨(モビー・ディック)』や『カッコーの巣の上で』をもう一度DVDで観た。

彼が見ているように、観た。しかし、まだジャーナリストとしての私の域から出られない。正しく描写するだけではつまらないし、オバマのような情感の豊かな人物は描けない。オバマの頭脳、そして胎内に入らなければ、彼が掴めない。

彼が使う英語など、皮膚に吹き出たにきび(ピンプルズ)のようなものだ。彼の頭脳に入るには、私がかつて研究したシャーロック・ホームズのようなプロファイラーにならなくてはならない。ホテルでカンズメを始めた3日目ごろから、シャーロック・ホームズの帽子をつけ始めた。

オバマの本も片っ端から速読を始めた。とくに彼が書いた自叙伝は凄まじい。これでもか、これでもかと自分を赤裸々に語っている。文章も巧い。プロライター並みだ。とくにリズムがある。そのリズムは白人大統領にないものだ。

彼好みの音楽を買い漁り、歩きながらも聴いた。「ボブ・ディラン」「スティーヴィー・ワンダー」「フィジーズ」
これらのリズムは、彼に接近するために埋めなければならない外堀だ。

その3につづく

 

2009年4月14日
紘道館館長 松本道弘