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O型人間 〜 その3〜

過去を知っている人から距離を置く警戒心が進めば、砂の器シンドロームにまで発展する。
その気持ちはわからないでもない。恩を仇で返す相手に対し、A型は「水くさい」と異口同音に答えるが、O型はそのようなセンチメンタルな期待を「甘え」とみなす。

過去に触れない方が本当の親切だと考えるO型は、civil inattention(あえて社交的距離を置く気配り)を自然に身につけたコミュニケーターだ。
最近、サンケイ・グループの影の存在として知られている、KKという人に会って、この話が出た。コーヒーを飲みながら、私の過去のエピソードを語った。

「ある有名な評論家から、「あんた(私)の講演を聞いた。あのオフレコという話はなんや」と車の中で聞かれた時に、とっさに「オフレコだから言えません」と答えたのですが、それからその人との関係がぷっつり切れました。「今夜自民党の大物に会うことになって、あんたのこと紹介しようと思うてたんやけど、そんな態度やったら、あんたはテレビに出られへんな」と叱られました」

それを聞いたKK氏は、私に同情するのではなく、相手を同情した。「それは相手を侮辱したことになる。オフレコというルールを破ってでも教えるべきだったんです。それが世渡りのエチケット。それが嫌なら、大衆の前でこれはオフレコですが、なんて言うべきじゃない。あんたは相手の面子をつぶしたんだ」

私はサムライとしての信義を守ったつもりで、褒められるかと思っていたが、反対に叱られてしまった。さらに「いくら気に入った相手だといっても、店頭に並ぶ前に本人のゲラを読ませろというのも筋違いだ。相手の面子をつぶしたことになる」とも言った。

「でもその人の本が公になったら恥をかくと思って、善意でやったのだ」と言っても、「それが余計なこと。恥をかくのは相手。そんなことよりもゲラを見せて、読まれたことに対する怒りの方が重要なんだ。結婚式にも、旧友を呼ばないのがルール。過去を知らない人ばかりの方がうまくいくことだってあるんだ」と。

これが日本人のメンツ? そうかな。どうも発想が違う。
このズケズケ言う人に私は言った。「失礼ですがO型ですか」。的中していた。あまりにもストレートなコメントに戸惑ったが、それなりにロジカルである。O型は説教されるのを嫌うが、説教するのが好きなのである。いや、ストレート・シンカーなのだろう。アメリカ人に受けそうな気質だ。

このKKというO型も、A型の私を気に入ってくれて、つきあってくれるが、会えばズケズケ言い合う。裏表のないのがO型のいいところ。AとOは磁石の両極のように、よくバトルが始まるが、mindsetの違いをお互いに認め合っているから、長続きするのであろう。

人のために善意でやって嫌われる理由がよく判る。
英語にもThe road to failure is paved with good intentions. (失敗の道は、善意で固められている)という諺がある。A型には「のに」という「甘え」がどこかにある。そんな「甘えん坊」のA型は、O型から見てもどかしいが、嫌いではないから辛口のコメントを与えるのだろう。

2008年9月30日
紘道館館長 松本道弘