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空気を変える人

schadenfreudeという言葉をご存知か。
英米人でもよく使うドイツ語だ。
人の不幸を喜ぶ心情であるから、噂の90%以上は悪意であるという理由づけにもなる。

『噂の眞相』(今は休刊)がなぜ読まれたのか。その理由もシャーデンフロイデなのだ。
とくに、自分と同じ程度の人間に出し抜かれるとくやしいものだ。そしてその人間が、高いところから落とされるところを見たいというさもしい気持ちも、人情というものなのだろうか。

私にもある。かつてNHKの『英語でしゃべらナイト』にレギュラー出演されていたあのひょうきんな人気者、松本アナウンサーに嫉妬を覚えたこともあった。
「同じ松本という名前なのに、オレはどうして浮かばれないのか。かといっていくら努力したって、あんな風なキャラにはなれない」と英語界の武蔵はがらになく(uncharacteristically)悶々としていた。

しかし、NHKの同番組からお呼びがかかった時、そんな屈折した羨望が一瞬にしてふっ飛んだ。
松本アナウンサー(NHKのエリート)と共演できたらなあ、という仲間意識が湧いてきた。勝手なもんだ。空気は人を変えるのだ。

表に出る人間はやっかまれる。そして叩かれやすい。『噂の眞相』に訴訟した人は、表の人ばかりだ。表の人と裏の人とのジェラシー・バトルは、どちらが「空気」を味方にするかで勝負が決まる。

そう空気。日本人を裁くのは「正義」ではなく、「空気」である。FeelingsであってLogicではない。

2008年4月10日
紘道館館長 松本道弘