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〜千の風になって〜 その4

緑 ―― まるで、変形菌。環境保全を守る闘いでは、いいライバルになる。私には緑色のカマキリの霊がついている。
しかし、霊の話になると、南方熊楠の知識は水木しげる並みに膨大で、私の予備知識などではとても及ばない。

死を賭して環境を守る。これができないのは青(死)の時代の限界である。
生を賭して闘うのは、緑の時代だ。青を卒業せねば…。

現在80歳で、これから30年間は現役で植樹を続ける、そのために本物の木種と本物の人物としかつきあわない、と豪語されている宮脇昭翁の気概≠ェ伝わってくる。

その気概は、神社合祀に身体を張って反対した熊楠のそれに似ている。鎮守の森の緑を死守した妖怪・南方熊楠は、まさに、環境保全の権化だ。

友人の柳田國男に協力を願い、断られたが、単独で政府と闘った男の気概は、品格をかなぐり捨てるdesperate(崖っぷちに立った)な男の意地だ。
著名な学者(上山春平)の優等生解答にやや失望して座った。
その時、「松本君」と言って、後部席から私の肩を叩いた男がいた。
私をクンと呼ぶ人?

振り返ると、関西学院商学部のゼミの友人、木下義夫君だった。田辺市の市会議員をしているという、30年ぶりに会ったその学友は、南方熊楠を顕彰し、世に広めようと立ち上がった発起人だという。

木下君は、東京の弘道館(今の紘道館)へも足を運んでくれた。私や弘道館塾生も、熊楠研究のために、南紀を訪れている。
柳田國男VS南方熊楠の模擬ディベートが好評だった。熊楠を演じた塾生・小島君の迫真の演技に、木下義夫君は目頭が熱くなったという。
弘道館の黄金期のエピソードだ。

2007年11月13日
紘道館館長 松本道弘