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友人と親友

友人とは友の悩みを聞いてくれる人。
親友とは友の自惚れを喜んでくれる人。
なぜ私がこう言い続けてきたか。
―― ちょっと解説がいる ――

私は蛇皮のベルトが好きだ。
縄文のシンボルだから?
ナノテクの六角形模様だから?
それもあるが、お金が貯まるという迷信を信じたいのだ。
浅草で買ったそんな蛇店のベルトをしていると、東京では褒めてもらえる。
「先生、おしゃれなベルトですね」
しかし、かつての柔道部の仲間は違う。
「趣味の悪いベルトしとるのう」と。
「先生の最近の力作読ませてもらいました」が友人なら、親友はめったに褒めない。
「お前の本、むつかしい。誰でも判るような文章書けや」
どちらが善友か悪友か。
そんな毒舌の悪友でも、相手が困った時は、親身になって聴いてくれる ―― 優位に立った友達は。
しかし、優位に立ちたくない真友は、もっと苦言を呈す。時にはもっと深い絶望へ突き落とす。親友が聴きたいのは、相手の夢だ。

オレは今から立ち上がる。今のオレの夢は、×××だ。笑うてくれ。
お前だから言う。オレがやらなくて、他に誰ができる?

親友が聴きたいのはこういう自惚れだろう。だから励ます。
「お前がやらなくて、誰がやる」と。

単なる友人なら仲間の自惚れにムカッとする。
「もっと謙虚になれ。<私なんて>とまず謙って」と。

常に自己卑下しなければつきあってくれない。そんな水臭い友は親友じゃない。
友人は、仲間と物理的結合をする。―― 水と油のように距離を保ち。
親友は、友と化学的結合をする。―― 水素と酸素のように、隔たりがなく。

友人は、酔わない。どこか突き放している。弱者を救うことのできる強者の立場に酔いながら。
親友は、友を突き放せず、共に酔う。共に笑い、共に泣く。
親友との関係は「花」でありたい。―― 笑いなさい、泣きなさい、と唄いあえる。
―― 同窓会に出席したあと ――


2007年4月26日
紘道館館長 松本道弘