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いや〜な夢を見た
いや〜な夢を見た。
広〜い殿堂に、数千名の信者が集まっている。「きれいな水に関心がある」と言っただけなのに、「じゃ、そんな人たちばかりが集まる聖なる場所があります」と誰かに山の中腹へ連れ込まれてしまった。金ピカの仏壇の壁には、1級、2級、3級――それにたしか段もあった――とランク表がかかっている。道場ら
しい。
「ええ? 水をもらうにも検定試験があるの?」
「ええ、すべて『行』なんですから、師弟間のオーラル・テストもあります」泣き叫ぶ幼児4〜5人が見せしめのために焼き殺されようとしている。おぞましい光景に身がすくんだ。この儀式は、裏のキリスト教のミサなのか。――わけがわからない――
「点数で人の価値が決まるわけではない」と私が言うと、隣に座っていた若い女性が、「あなたの話を聞いていたら、せっかく入会しようと思っていたのに、意思がぐらつくじゃありませんか」と抵抗した。
そんな時ハッと目が覚めた。理性が戻った。昨夜、夕食後に飲んだドブロクのせいか? 水のシンボルがどうして英語?――繋がらない。「行」は英語道とディベート道のことか? 最近磁力を身につけることを「行」と定義しているからか? ランク表はTOEIC(or 英検)とICEE の折衷か?
理性で考えると矛盾だらけでますますわからなくなる。しかし夢の中ではそういう疑問のかけらもなかった。これをdreaming logic と呼ぶなら、今の私はwaking logic で思考し、このブログを書いているといえる。
夢の中では思考はぐるぐる回る。まるで鳴門で見た渦潮のようだ。しかし、ある渦巻の中央は平らに治まっていた。その平らで穏やかな部分は、起きている時に知覚される、リニアな静的ロジックだ。しかし、渦潮はきわめて動的で、眠っている時にだけしか自覚されないスパイラル・ロジックだといえよう。どちらが正しいのか?
ひょっとしたら、現実そのものが、夢なのかもしれない。今、我々が見ているのは、daydream(空想――つまり夢のような考え)なのか、それともnightdream(こんな英語は無いが)なのか。現実とは、その両方を指すのだろう。
なぜこんな夢を見たのだろう。私の深層心理に巣くい始めた神話思考が蠢いたのか。今、私は常宿の合掌苑で執筆している。もう三日目になる。昨夜は遅くまで梅原猛の『聖徳太子』を読んでいた。蘇我氏(仏教)と物部氏(神道)の対立がおもしろい。日本での宗教戦争は、政治の延長だった。そして血にまみれなが
ら、ドロドロしていた。今の政治と変らない。夢は、過去を一瞬にして現実に結びつける。ロジックでは到底できない離れ技だ。
2006年11月29日
紘道館館長 松本道弘